さざなみドラムのこだわり

私が製作しています金属に切り込みを入れて音を鳴らす楽器はスリットドラム・タングドラムなどと呼ばれています。

この楽器の原型はいくつかの前身があったようですが2007年にDennis Havlenaという方が製作方法などを公開し、世界各地で同様の手法で作られた楽器が生まれることになります。

世界中にタングドラムのメーカーはたくさんあり、音の傾向は様々です。私の「さざなみ」は「豊かな基音と倍音の共振」・「濁りのない残響音」・「音数の多さ」が最大の特徴です。

以下ではそれらのさざなみの特徴について詳しく書いていきたいと思います。

豊かな基音・倍音の共振

さざなみドラムは表面と裏面のスリットで基音を共振させ、インナースリットと外周スリットを使う事で第2倍音を共振させています。その為一つのスリットを叩くと同時に第1・第2倍音が鳴り、それらが他のスリットと共振するように出来ています。その結果、一つのタングを叩くことで2~5のタングが同時に共振します。そうすることで気持ちの良い独特な音色や残響音が生まれます。

基音・第2倍音・第3倍音を同時に響かせる技術やスリット同士の音が濁らないような音階・音の配置には独自の工夫が詰まっています。

歴史の浅い新しい楽器は残念ながら権利関係の問題が起こる事も多く、さざなみドラムは楽器の正当性を保護する為に特許庁から登録査定(意匠登録1673510)を取得しています。

さざなみドラムができるまでの試作品の数々

濁りのない残響音

共振する上で非常に重要となってくるのが残響音です。さざなみドラムは、共振による残響音を一定の周期(ビブラート的なもの)で揺らぐようスリットの一つ一つを調整しています。

インナースリットは一部は直線、一部は丸くなっていますがこれはスリットの形状によって倍音の残響音の揺らぐ周期が変わるからです。また、一部は若干横にずらすことで最良の響きでかつ正確にチューニングできるようにしています。

また、一部のスリットにはインナースリットが入っていないのも理由があってのことです。無理に全て入れようとするとドラム本体と意図しない共振をし、不快なノイズが発生します。

さざなみドラムはできる限り綺麗な残響が響くように本体から発生するノイズを抑制する工夫も施されています。

こういった基音と倍音を同時にチューニングする技術や他のスリットの音が濁らないような音階・音の配置には独自の工夫が詰まっています。

音数の多さ

倍音を共振させる為に利用している外周スリットは楽器の音数を増やすためにも使われています。タングドラムは音数が少なく音階に抜けがあるいという欠点をもっていますがさざなみドラムは外周スリットを使うことで広い音域をカバーしつつも音階に抜けがないので既存の曲を演奏できます。

さざなみの由来

以上の豊かな倍音や残響音が「寄せては返すさざ波のよう・・・。」という点から私の製作するスティールタングドラムを「さざなみドラム」と名付けました。

自然界にあふれる様々な不規則な音、波の間隔、鳥、虫の鳴き声、木々のざわめき…。
こういった音と調和する楽器でもあって欲しい、そういった意味からも私の製作するタングドラムを自然界の音である「さざ波」から名前をとりました。

また、製作者の家はすぐ目の前が海で一日中波の音が聴こえてきます。その環境で作られた楽器・・・という意味でも私の製作するタングドラムは「さざなみ」なのです。

今後も空間を癒せるような楽器を作っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。